「悪いけど・・・受け取れないから・・・」
「そんな・・・、別に貰ってくれるだけでいいんです・・・、それも駄目なんですか?」
「・・・・興味無いから・・・」
「それって、恋愛に興味が無いってことですか・・?」
「・・・・君に興味が無い・・そういう意味」
「・・・・」

絶句する女の子を置き去りに
俺は、朝から何度となく、この台詞を言い続けている

女の子が愛の告白をする日
誰が決めたのかは知らないけれど
俺のところに、何故か・・・、何人もの女の子が
プレゼントを持ってやってくる・・・

校門の前で・・・昇降口で・・・
下駄箱は・・・、鍵をして帰ってよかった・・・と思う

教室へ行くと、机の中に・・・いくつもプレゼントが・・・入っている
それぞれに添付された手紙に、差出人があるから
これを返しに行かなければいけないと思うと・・・憂鬱
いっそのこと・・・、捨ててしまえればどんなに楽か解からない・・・

「あの・・・、葉月先輩・・・」

またか・・・
・・・一年生か、教室まで来るのか・・・
の前だから・・・・、嫌だ・・な

「受け取れないから・・・」
「葉月先輩だけ、ずっと好きだったんです。受け取って下さい!」
「・・・俺は、好きじゃないから・・・」
「・・・」
「帰れよ・・・」

一年生の女の子が、泣きながら帰ってゆく姿を、俺の横の席でが眺めている
俺はの視線が気になるけれど・・・
何も言えない

「葉月くんって・・・、ひどい事平気で言うね・・・」
「・・・・」
「だって、あんなに真剣に・・・頼んでるのに・・・『帰れ』って、ひどすぎ・・」
「・・・・」

俺は、の言葉に居たたまれなくなって
その場から逃げ出したくなる・・・
そんな時、また・・・、プレゼントを持った女の子が近づいてきた

「あの・・・、私と付き合ってくれとか、そんなこと、思ってません
 ・・でも、気持ちだけでも受け取って下さい」

また、が俺のほうをしげしげと眺めているのを感じる
俺は、苛々した感情を目の前の彼女にぶつけてしまった・・・

「・・・いらないって言ってんだろ・・・何度も・・・、帰れ・」

また、一人の女の子が、目の前で泣き出した
誰にも、その涙を止める事など出来ない・・・俺の言葉で傷つけている
俺は、立ち上がると、の冷たい視線を背に走り出していた
が何か叫んでいる声が聞こえたけれど
俺は構わず走り続ける


・・俺は、誰も来ない教会横の裏庭で座り込んだ
もしかすると・・・興味のない女の子からのプレゼントを受け取る方が得策だったのか・・・?
そんな想いが頭をよぎる・・・
目の前で泣き出す女の子を見たくて、俺は・・冷たい言葉を出しているのではない・・・
けれど・・・そんな気持ちなど、誰にも解かるはずなんて無いんだ・・・

「葉月くん・・・」

この声は・・・、俺を追ってきたのか・・・

「何で怒ってるの?私が、・・・ひどすぎるって言ったから?」
「・・・・・」
「だって・・・、受け取るくらいしてもって、そう思ったんだよ・・・」
「・・・・・」

俺は、の言葉には答えずに、教会の十字架を見つめていた

「・・・女の子の気持ち・・・、葉月くんには解からないんだね・・」
「・・・どういう意味だ?」
「だって・・・・」

は急に涙声になった

「・・・なんで、おまえが泣くんだ・・・?」
「葉月くんに、気持ちを・・・受け取って欲しくても
 叶わないって・・・解かったら・・・泣くしか無いじゃん!」
「・・・」
「葉月くんは・・・興味ないんでしょ?!
 誰にだって心を閉ざして・・・嫌いなんでしょ?私のことだって!」

が制服のポケットから、小さな包みを取り出すと、俺の顔に投げつけた
ピンクのリボンがかかったそれは
明らかに店で売っている物ではなくて
不器用に包装された、小さな小さな気持ちの塊り

目の前で涙を流す一人の女の子は
苦しそうにしゃくり上げる

俺は、その包みを拾い上げて・・・手のひらにのせて
の目の前に、持っていった

「・・・俺に投げつけるために・・・作ったのか?」
「・・・」

なおも、泣き続けるは、声も出せずにいる

「俺は・・・、興味が無い人からプレゼントを受け取って・・
 それなりに・・・気持ちを返す事が出来る程、器用じゃない」

「・・・だけど、帰れとか・・・言わなくたって・・いいじゃん!!」

「・・・それなら、優しい言葉をかけて
 期待をもたせる方が・・・、良いのか?
 それが、・・・本当の優しさなのか?!」

「そんなの、言い訳だよ・・・、振られた・・・女の子の気持ちなんて
 葉月くんには・・・解かんないんだよ!
 いつも不機嫌で・・・何考えてるか・・解からなくて・・
 私の気持ちだって・・・・、全然・・・、解かってくれないくせに!!」

の瞳から流れ出す大粒の雫
それを拭いもせずに、真っ直ぐに俺を見つめる
俺が・・・、泣かせているって事を
今、はっきりと感じた

「・・・・おまえの気持ち、解からない」
「・・・・」
「でも、おまえだって・・・、俺の気持ち・・・」
「・・・葉月くん」
「俺が・・・どんな気持ちでいるのか、おまえの事どれだけ想っているのか・・・
 おまえだって・・・解かって無いだろ?」

俺が堪えきれずに口にした言の葉
一度口からでた言の葉は・・・
大きな意味を持って・・・相手に届く事になる
俺がずっと言えなくて
俺がずっと抱えてきた事
涙のおまえに・・・伝えてしまった


「俺は、おまえ以外の人から、何一つ受け取りたくない
 ただそれだけだ・・・」
「私・・以外の・・・?」
「おまえの気持ちが欲しい・・・それだけ想ってた」
「・・・そんな・・」
「おまえが・・・好きだ」

の瞳から、新しい涙が零れ落ちる
悲しげに胸を切り裂いていた涙とは違う

「ごめん・・・泣かせるつもりなんて、無かった」
「・・・葉月くんが、私・・を?」
「・・ずっと、入学した時から・・・おまえだけ見ていた」
「・・嘘」
「嘘?
 嘘をつく・・何の意味があるんだ?
 ・・・本当の事だ」
「ごめんなさい・・・」
「・・・謝るな」
「でも・・・、ごめんね」

涙でぐちゃぐちゃのの顔を、眺めていると
俺の中で抑え続けていた気持ちが堰を切って溢れてくる

俺は・・・泣き濡れたの頬にそっと手を添え、その涙を拭う
でも、後から・・後から・・流れ出す雫を止められるはずもなく
そのまま、俺の胸の中へ抱え込む

「俺・・・おまえが好きだから」
「・・・」
「何度でも言う・・・おまえだけだ」
「・・葉月くん」
「おまえが・・・応えてくれるなら・・・
 このチョコレート、もう一度渡してくれ・・・」

俺の右掌からの元へ戻ったピンクのリボンの包み
今度は、の気持ちと一緒に受け取ろう

「葉月くんが好きです・・受け取って下さい」

俺は・・の肩を優しく抱き寄せ
その愛らしい唇に、俺の返事を伝える

「・・・おまえが好きだ」

俺は・・・もう一度を抱き寄せた
今度は・・・もう二度と・・・離さない
教会の十字架に誓って・・・おまえを永遠に愛し続ける



END


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